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『靑鞜』の創刊号の小說、田村とし子の「生血」、森しげの「死の家」、物月和子の「七夕の夜」の三篇の作品とも女性が語り手、主人公となって登場する。その女たちを通して語られるのは男女相剋と性の問題、結婚制度の矛盾と僞善性、家父長制度の下で職業に自己を生かしきれない惱みなど、同時代を生きる女たちのさまざまな生き方が描かれている。
どの作品にも｢新しい女」たちの眞摯な叫びが溢れている.彼女たちは偏見に抗して封建的な家制度や良妻賢母主義と鬪い，自由を追求している。『靑鞜』の創刊号の小說は女性における社會構造の矛盾に反發し、時代のジェンダ－の枠組みに納まり切れぬ自我に目覺めた作家によって、女性の置かれた現實を見つめ、自分の生き方を模索した確かな存在感をもっているといえよう。しかし、實現するためにどのように進むべきか、成長していく過程までは描かれずに終わった物足りなさもっている。