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九代目市川団十郞(1838-1903)は、幕末から明治初期における歌舞伎演出に新たな挑戰をした役者である。そこで、団十郞を通して、光線、故實、活歷のような演出が行われた意味、変革期の団十郞の歌舞伎劇に對する意識の特徵について考察してみた。
「活歷」は旧來の伝統的な歌舞伎創造上の樣式、約束事、技法を否定し、新しい樣式、演技、演出を創始しようとしたもので、それを意図的に行なったところに、それ以前の歌舞伎の「芝居づくり」と斷絶する点があったのである。單に衣裳・諸道具の改革のみに限られるのではなく、演技的表現の改革ヘ繫がっていく。
要するに、団十郞が始めた新たな「演出」は、旧來の型や約束事を排し、寫實的で地味な演出、長い弁舌、役柄から入るのではなく直接性格の分析や心理の追求から入る役作り、腹芸と呼ぶ表面的には動きの少ないしぐさ、衣裳・道具についての徹底した故實尊重などによって象徵されるのである。
このように、歌舞伎という「演劇」の創造に、これほどはっきりした「演出」の槪念を持ち込んだのは、明治の演劇改良運動における、団十郞の「活歷」が最初だったのである。
さらに、今までの歌舞伎の演出法から大きく離れた、光を利用し具体的に舞台を表現したり故實あるいは個性的な衣裳よる演出法は、從來の歌舞伎の「方法・理想」からかけ離れ、「舞台秩序の混亂」を招く恐れがあるために、抵抗感を抱いていたことに對する認識の轉換を意味することであった。結果的に、「否定的な価値」から「新たな可能性」へと直結することが出來たきっかけになったと言える。
以上のように、明治初期は、歌舞伎において大変革期であり、樣々な新しい試みがなされた時代でもあるが、その過程で入ってきた舞台裝置や照明、衣裳などをめぐる新しい技術と發想は、歌舞伎を高尙な舞台芸能へと脫皮させてゆく働きをした。その一つである九代目市川団十郞の演出と演劇運動に見られる特徵について、改めて考察してみたのである。
목차
Ⅱ. 明治初期の九代目市川団十郞における劇意識
Ⅲ. 演出の革新性ー光線という道具
Ⅳ. 活歷と故實としての演出
Ⅴ. おわりにー明治初期歌舞伎劇の変容を見直して
【參考文獻】
<要旨>