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「西方の人」は,1927年7月10日書き終え,同年「改造」8月號に揭載した.次に書かれた「續西方の人」と共に,このクリストに關する評論がまさに芥川龍之介の最後の「遣書」になった. 「西方の人」「續西方の人」は硏究者により,さまざまの角度から分析されてきたが本稿では,特に兩作品を分けて別の作品として取り上げて見たいと思う. そのためにまず「西方の人」だけを中心にして考察する.すなわち,芥川の注目したクリストの十字架の意味は何であり,クリストのジャ－ナリズムや復活の意味は何であるかである.これらの考察を通してイエスはなぜ芥川の「わたしのクリスト」になり得たのかを考えて行きたい.