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本論文は、室町時代の抄物、特に『玉塵抄』を中心として、五山系抄物の中で漢字の字音の系統について説明しているところを取り上げ、そしてそれとその音注において<墨筆―呉音>と<朱筆―漢音>という表示わけのある『文明本節用集』との比較を通して、呉音漢音と明示されているそれぞれの字音がその当時の他書における呉音漢音とどのような関わりを持っていたのかを検討した。なお、当時その呉音漢音の分類には清濁がどう関わっていたのかも合わせて考察した。その結果、五山系抄物と『文明本節用集』における呉音漢音の分類の仕方には、共通の理解が多数見られる反面、その3分の1は何らかの点において異なっていることが明らかになった。この事実は、室町期、一口に呉音漢音といってもその内容は学派や人物などによって多かれ少なかれ異なっていたことを示していると考えられる。さらに、『玉塵抄』を中心とする五山系抄物は『韻鏡』濁音字、さらには清音字の一部などについても、抄物では素音注が同一のものについてはそれを清濁の別で呉音漢音に分類しているのが普通なのに対して、『文明本節用集』ではその場合両方とも漢音としていること、濁音は呉音、清音は漢音と、つまり清濁の違いに基づいて呉音漢音を分類していることがわかった。このことと『文明本節用集』の編者は五山禅僧と言われていることとを重ねると、五山の中には、字音の呉音漢音分類、そして、その方法について、相対立する二つのグループがあったのでないかと考えられる。
목차
要旨
1. はじめに
2. 資料について
2.1 『玉塵抄』
2.2 『玉塵抄』以外の抄物
2.3 『文明本節用集』
2.4 『倭玉篇』
3. 抄物における呉音・漢音と文明本節用集との比較
3.1 文明本節用集と一致
3.2 文明本節用集と不一致
3.3 文明本節用集と一部一致、一部不一致
4. 呉音・漢音の分類と清濁
5. まとめ
参考文献
1. はじめに
2. 資料について
2.1 『玉塵抄』
2.2 『玉塵抄』以外の抄物
2.3 『文明本節用集』
2.4 『倭玉篇』
3. 抄物における呉音・漢音と文明本節用集との比較
3.1 文明本節用集と一致
3.2 文明本節用集と不一致
3.3 文明本節用集と一部一致、一部不一致
4. 呉音・漢音の分類と清濁
5. まとめ
参考文献
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