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일본어
本稿では、形容動詞語幹を作る接尾語ヤカとラカについて、ヤカとラカの形成素であるヤ․ラの語源とその派生語の時代的流れと作品のジャンルとの関係について考察してみた。 まず、接尾語ヤカとラカの形成素であるヤ․ラの語源についての諸説についてみると、ヤ․ラの語源を動詞の活用語尾や助動詞ユ․ル、あるいは間投助詞とする説があったが、動詞活用語尾からの派生ではないかと思われる。 次にヤカ型とラカ型の形容動詞は語彙史的消長の面からみると、上代及び平安極初期ではその使用頻度はほぼ同じくらいであった。しかし平安中期に入って急にヤカ型の語彙が増加し、平安時代以来その造語力を保持している反面、ラカ型の語彙は相対的に増加の速度が低下し、かなりはっきりした時代的傾向がみられた。 また、上代から室町時代までの文献をジャンル別に分析することによって接尾語ヤカとラカがどのような文体の作品に多く使われているのかを考察してみたところ、時代とは関係なく多少の出入りが認められた。例えば、全般的にヤカ型が優勢な中で鎌倉時代に一時的にラカ型語幹の形容動詞の使用頻度がやや高まっている。それはこの時代が武家政治の台頭期であり、男性的かつ事実の客観的描写と固い漢文訓読体で、文体に緊張感を与えるためであろう。らか型をジャンル別にみると、軍記→説話→日記․紀行→王朝物語→歴史→随筆の順に多くあらわれるが、これも作者の男女の別と素養や、文体による偏りが認められた。即ち表現主体が男性の場合は漢文体をはじめ和漢混交文で客観的叙述をする傾向があり、ラカ型の語彙を選好していることが分かった。女性の場合は主観的で語感が柔らかいヤカ型の語彙をより選好している。そこでヤカ型が優勢な作品をみると、源氏物語(36:17)、浜松中納言(23:12)、堤中納言(13:3)、寝の目覚(27:11)などで、ヤカ型が好まれる背景には、主観的、繊細な表現に使われる語彙が顕著であって、繊細な感情表現を好む日本人の美意識が働いていると思われる。 またラカ型だけの語幹の場合は、語基そのものが情態言「ーラ」であるもの、動詞化接尾語ルの未然形の「ーラ」に接尾語カが接続した「ーラ+カ」の形式が多く、下二段動詞の場合は「連用形+ラカ」であるという構成である。ヤカ型․ラカ型の両方がある場合には、ヤカ型の先行する語例がラカ型の先行する語例よりも多く、すべての語彙が両型をもっているのではない。
목차
1. はじめに
2. 接尾語ヤカとラカにおけるヤとラの語源
3. 上代のヤカ型とラカ型
3.1. ヤカ型
3.2. ラカ型
4. 中古以降のヤカ型とラカ型
4.1. 訓点資料
4.2. 王朝物語類
4.3. 随筆․日記․紀行文
4.4. 歴史․説話․軍記物語
5. 同じ語基の「ヤカ型」と「ラカ型」
5.1. ヤカ型が先行すると認められる語
5.2. ラカ型が先行すると認められる語
5.3. 両型が共存したと認められる語
6. おわりに
参考文献