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「時の表現」は「ル」形と「タ」形の対立の中で記述される。一般に、「ル」形は非過去を表し、状態動詞が現在を、動き動詞が未来を表すとされる。しかし、この記述だけでは動詞の「ル」形が表す「時の表現」の意味を体系的に捉えることができない。動詞の種類の違いによって立てられた体系の中では記述しにくいものが多く、結果的に「時の表現」における例外的な現象が設けられるようになる。本稿は、先行研究で明らかにされていない「ル」形を「時の表現」の体系の中に正しく位置づけることを試みるものである。 状態動詞の「ル」形と未来との関係、それから、動き動詞の「ル」形と現在との関係は「時の表現」の体系の中に綺麗におさまっていないと言える。本稿では、状態動詞の「ル」形が表す意味の中で、未来を表すとされるものを新しい観点から位置付け、さらに、動き動詞の「ル」形の意味については、先行研究と意見を異にするものを中心に、本人の既存の主張をまとめて提示し、「ル」形の意味を体系的かつ総合的に記述する。 状態の表現は続いている状態、つまり、存在している状態(事実)を見て捉える表現である。状態の表現が未来を表す時の語句と共起する場合、それは現在を表すものとも、未来を表すものとも捉えることができる。動き動詞の「ル」形はその使い方が多様である。特に、動き動詞に関しては、恒時的な事象が現在の表現と現れ方が同一であることや、また、発話時と関係しており、現在を表す事象のように捉えられている事象の「ル」形が未来を表すこと、などを提示し、状態動詞と動き動詞における「ル」形の規則性を合わせて述べる。 状態表現に用いられる「ル」形は現在を表し、動きの成立の表現に用いられる「ル」形は未来を表す、という体系を、状態動詞と動き動詞の意味の両面性から記述し、「時の表現」の例外を減し、「時の表現」の体系がより規則的なものとして働いていることを裏付ける。
목차
1. はじめに
2. 状態動詞と「ル」形
3. 動き動詞と「ル」形
3.1 「時の表現」における動詞の意味決定
3.2 恒時的な事象の「ル」形
3.4 動きの成立が発話時と関係する事象
4. おわりに
参考文献
