원문정보
초록
일본어
上代籍帳には膨大な量の人名が萬葉仮名で書き留められているが、人名の表記が極めて断片的であるため、そこから語の内容を掴むことは極めて難しい。しかし、籍帳には家族構成員の続柄が明示されているので、相互間の命名における意味上のつながり─意味連鎖─を活用し、人名の語義を明らかにすることができる。 本稿は、このように家族相互間における意味連鎖などを手がかりとして、上代籍帳に現れている人名表記を調査し、古代日本語における語彙の探究を行ったものである。そのため、人名語彙の範囲を大きく、具体的な概念を表すものと、抽象的な概念を表すものの二つに大別して考察した。前者では動・植物名、魚介・海藻名、物の名・色名、地名、姓・部名、親族名称・代名詞、数詞・身体名、儒・仏教、十二支などを対象にし、後者ではプラスイメージによるもの、マイナスイメージによるもの、両者の混合型によるものなどを対象にした。 詳しい語彙の内容についてはそれぞれの節における各項目に述べてあるが、籍帳の人名に現れる語彙には当時の一般庶民における日常語の口語が反映されていることや、言葉の変化の様相が捉えられるなどのことが指摘できる。次のような語彙が籍帳の人名に見られるのはその證例であると見なされる。 1)「いしもち」(石首魚)「なまづ」(鯰)などの魚名や、「あやかり」(肖)「へや」(部屋)など、古事記・日本書紀・萬葉集といったハレの文献では現れないものが見られる。 2)「さがむ」(相模)「をこじ」(虎魚)、「うなぎ」(鰻)などのように古形と新形の語形が共存する。また、同じ語彙でも「つき」(「桃花鳥」の古形)と「とき」(「桃花鳥」の新形)、「あろじ」(「主人」の古形)と「あるじ」(「主人」の新形)のように両者が共存するものが見られる。 3)「しめや」「なごや」「ひすら」「やはら」などは、後代にナリ型形容動詞として発達する「しめやか」「なごやか」(和)「ひすらか」(薄)「やはらか」(柔)における接尾語「か」の未接続段階の語形であり、和語における形容動詞発生の過度期の様相が窺える。
목차
1. はじめに
2. 具体的な概念の人名
2.1 動․植物名、魚介․海藻名
2.2 物の名、色名
2.3 地名、姓․部
2.4 親族名称、代名詞(呼称含)
2.5 数詞、身体名
2.6 儒․仏教、十二支
3. 抽象的な概念の人名
3.1 プラスイメージのもの
3.2 マイナスイメージのもの
3.3 混合型のもの
4. まとめ
参考文献