원문정보
초록
일본어
本研究は、古事記․日本書紀の王権神話をテーマとして制作された神話美術を分析し、日本古代神話の世界が明治時代以降の国家意識の意図性(国民国家イデオロギー)によってどのような形として表現され、その図像表現がどのように文字神話と異なるテキストを形成したのかを考察したものである。用いるテキストは『肇国創業絵巻』であるが、これを分析の対象としたのは、この絵巻が満州事変の後、対外的な意識が強くなった戦争期の1939年に当時の代表的な画家を総動員して制作され、国民統合と皇国精神の発揚の手段として利用された代表的な国策の美術テキストであるからである。 この絵巻が制作される当時は日中戦争が泥沼の様相を呈していたため、その戦争を理想として揚げるのに、神武の東征神話を中心としている本絵巻は都合のよい作品であった。つまり、絵巻は、戦時イデオロギーを神話美術の形で宣伝するための道具であった。例えば、神武東征の物語の絵において、天皇軍に従わない敵対者は「平定」され、血みどろの戦闘は最後の段にいたっても描かれない。殺戮の場面は詞書のみに語られている。神武天皇軍の東征は皇化に従わぬ蝦夷平定であり、それは当時の戦争中の皇軍と重ねられている。このように、絵巻は神話美術の作品であるが、戦争時のイデオロギーを強く打ち立てる生きた歴史のテキストであり、皇国精神の発揚と国民統合のために積極的に作り出された天皇神話テキストであるといえる。 日本が戦争によって軍事的・政治的な役割を拡大しようとしたとき、新しいナショナリズムや国家重視などといったことを強調するようになり、そこには「皇統の神聖=国体の護持」といった確信が必要であった。明治天皇のイメージが近代国家の必要性に合わせて新しく形成されたように、戦争期という危機において神武天皇も国民統合のシンボルとして作り替えられざるを得なかったのである。天皇崇拝思想を国民に据え付けようとした当時において、この絵巻は国体の独自性と戦争の聖性を教え込むための手段として用いられる神話テキストであったと考えられる。
목차
1. はじめに
2. 『肇国創業絵巻』の図像の虚構性
3. 絵巻詞書のテキスト作り
4. 図像の神話テキスト
5. 終りに
参考文献