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초록
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本稿では、テクストの空間の分析の尺度として、知覚主体である主人公の<身体>を原点とした空間論を試みた。主人公の身体の位置の移動によって変化し、時間とともに内と外へと流動し変換するテクストのなかの空間の内在的な意味に着目すると同時に、物語行為者である「語り手」の視点を通して主人公「江口老人」の体験する感覚世界を考察してみた。理論家たちの幾つかの空間の言説を踏まえたうえで作品「眠れる美女」の空間の問題を分析してみたが、まずボルノウのいう拡大した身体としての「住まい」すなわち、私である自分自身の空間を「内部空間」と見なし、もはや私に帰属しない、私には疎遠な別の空間を「外部空間」として規定した場合、テクストのなかの空間は江口老人の「外部空間」だけが描かれている特徴が見られた。また山口昌男の「内」と「外」という概念で分析した場合も、おのれを中心とした同心円、そのなかの「我々」、「この世界」というのが削除されており、むしろ境界を円周とした「彼」、「我々」に対する「彼ら」、「この世界」に対する「彼方の世界」という外で意識化される周円およびその彼方の部分が具体化されていることが確認できた。その周円の部分に現われる「彼ら」は、テクストの中では「眠れる美女」たちとして他者の原像を提供してくれる。しかし、江口老人が「秘密の家」(外部空間)を訪れるのは、「彼方」への移動、すなわち<未来>への転進であるはずだったが、実際に江口を待っていたのは<過去>への回帰であった。しかも「彼方から此方へ」と、「此方から彼方へ」の接近が周縁的現実としての「夢」や「幻想」に連なっていたことは、「眠れる美女」のテクストの、江口老人を中心とした独特な世界像を暗示していると言える。他者との出会いの場、すなわち幻の部屋で「眠れる美女」を通して、生の豊かさを取り戻したり「死」への誘いに揺らめいたりする「眠れる美女の家」の空間は、さまざまな意味とイメージが重層的に発生する境界の特性が抽出できる場所であるに違いない。それは、エロスと禁忌や、生と死、夜と光、また欲望と幻想や罪と悲しみ、など等の境界としての多義的なイメージの重なる場所として解読されなければならないであろう。
목차
1、はじめに
2、内的世界․外的世界─<身体>
3、内部空間─境界─外部空間
4、「幻」の装置と感覚空間
5、「夜」․「眠り」․「夢」
6、まとめ
参考文献