원문정보
초록
일본어
本稿は、明治20年代に『女学雑誌』に掲載された若松賎子訳『小公子』に見られる丁寧語表現形式である「です」「ます」「ござる」を中心にその実態調査を行い、そこに見られる意味․用法について分析したものである。明治期は、社会的変化の余波を受けつつも言文一致運動という<書き言葉>と<話し言葉>の接近が見られた時期であり、それまでの文語体から「です․ます調」の文末表現形式を採用した。しかし、その背後には多くの困難が伴われており、当時の作家を中心として様々な試行錯誤がおこなわれ、その結果として現代日本語でも使用されている<です․ます>で代表される緒形態の新文体が現れるに至ったという経緯がある。若松訳『小公子』は、このような混乱期に、文語体からの離脱、新文体の採用などの試みを積極的に図ろうとした若松の意図が随所に感じられる作品であると言える。そして、そこに見られる丁寧語表現․丁寧語化は、それまでの敬語形式から言文一致体という聞き手主体の敬語形式に移り変わろうとするこの時期の特徴を表していると言っても過言ではないだろう。「です․ます調」の使用は、それまでの漢文中心の小説とは異なり、現代日本語につながる大きな言語の変革と言える。ところが、ここ『小公子』では、基本的に素材敬語が必要とされない地の文では積極的に導入されてはいるものの、<敬意>の問題が介入される会話文においては、「です」表現形式の使用人物が限られているという点と、作品中に見られる過剰ともとれる不自然さを感じさせる尊敬語․謙譲語等の敬語表現形式使用が見られた。つまり、『小公子』が書かれた時期にあっては、依然として文末表現に関する敬語処理の面で未整理で確立されておらず、それまでの文語体表現を使用することにより会話における上下関係等を表現せざるを得ないジレンマを抱えていたということを表している。そして、これらが意味することは、明治期という歴史的にも言語学的にも特異な時期に現れた言文一致運動とその敬語処理の問題という二つの要素が絡み合う、まさに過度期て゛あったことを示しているということである。
목차
1. はじめに
2. 研究対象および目的
3. 『小公子』に見られる丁寧語表現形式
3.1. 「です」
表現形式
3.2. 「ます」表現形式
3.3. 「ござる」系表現形式
4. おわりに
参考文献