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明治後期における日本の国民国家としての完成は、教育制度の改革と価値設定、それを実践していくなかで排出した人材の活躍によって可能であった。本稿は、その時期を明治期に限定し、1872年の学制の制定とともに始まった新政府の教育体制の確立と、その後の教育イデオロギの変化に注目し、1879年の教学聖旨·1890年の教育令の改定·1886年の種別学校令の制定·1890年の教育勅語などを中心に、それらの実行規則の細部を検討することによって、明治期における教育理念の変化や実践について概観し、その具体を歴史教育や唱歌教育を通じて考察するものである。国民国家としての国の体制が整い、引いては西欧列強と肩を並べるようになった明治後期、日本の為政者たちは、国家の定めた目的を達成するために、戦争という最悪の選択をした。一連の戦争を直接遂行した兵士たちは、明治期に入って新しく作られた教育システムのなかで、教育勅語に代表される国家による方的教育理念の設定や統制のもと、強い国家観や尊皇思想で洗脳されていた。また、教育の現場は戦争を行うにおいて、国民全体の積極的な協力を引っ張り出すための統合したイデオロギ形成の場として機能していた。結論として本稿は、帝国主義·軍国主義へと走る、近代期日本の思想的正体性の確立に、明治の公教育がいかに関与し、これを利用したかを究明するための些細な試みである。