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『蜻蛉日記』を始発に成立した平安朝女流日記は、作者の固有の精神に根ざしており、それぞれ特異性を発揮し、一つ一つが自立している。作品を強力に支えているものは、書き記すことによって表出しないではいられない情緒、いわば、韓国人にとって誰しも胸の中に一つくらい抱いているといわれる「恨(ハン)」の情緒に近いものではないかと思われる。平安女性が韓国の「恨(ハン)」という言葉を知っていたはずもなく、時代的背景や空間的距離など、日本人に「恨」という情緒を言ってどれだけ通じるかという恐れはあるが、本稿では、道綱母をして『蜻蛉日記』という作品成立にまで至らせた彼女の悲哀感を単なる「嘆き」とは異る韓国人の「恨」の情緒に近いものとして読んでみたい。そこで『蜻蛉日記』に描かれている道綱母の不幸を「兼家の愛情」や「子供」「正室」への「恨」として捉え、それに対立する場面や物詣の自然観照を通して苦悩を克服していく作者の姿を辿ってみたのである。なお、『蜻蛉日記』を女性文学として見るとき、社会性が乏しく、男性中心的社会制度に対する疑問や結婚制度に対しての反発などは見られないが、夫兼家に対する反発や抵抗意識は、当時の女性像としては想像を絶するもので、一見、そのような激しい個性は、一般的な「恨」という概念から考えると「恨」の情緒に対立する側面があるが、その個性のつよさこそ、不幸な結婚生活の体験を書く原動力になり、文学的人生に昇華させる根源となったと考えられる。
목차
요지
1. 女流日記文学と「恨」
2. 道綱母の「恨(ハン)」
1)満たされない兼家への「恨」
2)大勢の子供に恵まれなかった「恨(ハン)」
3)正妻になれなかった「恨(ハン)」
3. 「恨(ハン)」の対立
4. 恨の昇華
【参考文献】
1. 女流日記文学と「恨」
2. 道綱母の「恨(ハン)」
1)満たされない兼家への「恨」
2)大勢の子供に恵まれなかった「恨(ハン)」
3)正妻になれなかった「恨(ハン)」
3. 「恨(ハン)」の対立
4. 恨の昇華
【参考文献】
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