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『痴人の愛』と『赤い屋根』の女主人公・ナオミ、繭子をめぐって、大正の大震災後〈大正デモクラシー〉の風潮とともに現れてくる、いわゆる「モダンガール」と見る意見が多いが、それは彼女たちの容貌や服装、趣味、恋愛など、人物造形における特長が、西洋的な生活スタイルを追求する「モダンガール」の典型として当時の読者から受け止められていたからであろう。その上、年の差のある男の援助で生活しながら外の男性との浮気をも楽しむ彼女たちの自由奔放な生き方は、「ナオミズム」という流行語を生み出し、「ラブ・イズ・ベスト」の恋愛論が一般に広がっていた1920年代における〈ナオミ〉的な女性像を強調している。しかし、『痴人の愛』と『赤い屋根』の根幹をなしている風俗描写や性愛の構図を取り払ってみると、時代の風潮に乗って新しい文物を受容し、それを享受するだけの自主性を持って社会的に上昇しようとする「新しい女」像が潜んでいる。一見、ナオミと繭子の「モダンガール」、〈ナオミズムの女〉ぶりが自らの自覚や努力によるものではなく、男性に引き取られ、受動的に教育された結果のように見えるが、大正を背景にしたナオミの力動的な半生や自分の立場を省みる繭子の心理に焦点を当ててみると、「モダンガール」としての生活や〈ナオミズムの女〉としての男女関係は、1920年代の大正を反映した彼女たちの世に向かう主体的な姿勢だったことが明らかになる。