초록 열기/닫기 버튼

『播州平野』は、1945年8月15日前後をその時代背景としている。東北で弟家族と共に終戦を迎えたひろ子は、義理の弟が広島で行方不明になったという連絡を受け、東北から東京を経由し山口県の夫の実家に向かう。そこで、治安維持法の廃止により重吉が釈放されたという便りを聞き、再び東京に戻る旅程で起った事などが描かれている。列車の中で目にした敗戦直後の日本人の姿とリアリティーに富んだ会話の内容や車窓の外に広がる敗戦の傷痕、また国民の疲弊した状態や水害で寸断された道路の戦争の残酷さを告発し、読者の反戦意識を呼び起す。 ひろ子は重吉が治安維持法の廃止により釈放されたように、朝鮮人が終戦で故郷に戻る姿を解放と見なしている。また少年兵や復員兵の凄まじい姿を通して戦争の残酷さを知らせ、抑圧から抜け出すことを解放と考えている。そのためひろ子は終戦を日本の軍国主義と侵略戦争の敗北と受け止める。 また、ひろ子は重吉の実家を例にとり、「寡婦の村」での実生活において、夫と息子を失った嫁と姑の葛藤を通し女性の失意に満ちた姿を哀れんでいる。ひろ子は女性が受動的な生き方から解放され、主体性を持ち自立する必要性を感じている女性の役に立つ作品を書きたかったが、プロレタリア作家として、また思想犯の妻として行動の制約を受け、女性たちのために何の役にも立たない自分をもどかしく思っている。 このような困難な環境においてもひろ子は作品のタイトルになっている「播州平野」の豊かさを背景にして希望のメッセージを託している。