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本稿では、江戸中期の上方語資料の版本狂言記に現われる敬語ラ行下二段活用(「くださるる」 「しやるる」 「なさるる」 「めさるる」)の四段化現象について考察して見た。特に、全体的傾向を中心に版本狂言記3種(続狂言記(1700)狂言記外五十番(1700)狂言記拾遺(1730))の四段化の実態の分析結果に基づいて、当時の近松世話浄瑠璃及び、上方絵入狂言本の傾向との比較を中心に考察するとともに、遅速差の原因についても検討して見た。その結果、幾つかの特徴的事実が明らかにされたが、四段化の全体的傾向を中心にまとめると、大略次のようである。①単語別に見ると、「しやるる」、「めさるる」、「くださるる」、「なさるる」の順に四段化が進んでいる。②活用形別に見ると、命令形、終止․連体形、連用形、未然形の順に四段化が進んでいる。③文体的な面から見ると、会話文の四段化は地文の四段化より早い。④位相的な面から見ると、男性語と女性語間による四段化の遅速差は見られない。⑤版本狂言記の四段化率は同種資料の狂言記(1660)の四段化率より高いが、近松世話浄瑠璃及び上方絵入狂言本の四段化率より低い。 つまり、このような考察を通して版本狂言記に現われるラ行下二段活用の四段化は単語、活用形、文体によって様々な遅速差を見せながら進んだということと、位相による遅速差が見られないということが確認できた。さらに、このような結果を通して同種資料の狂言記の四段化率より高いことと近松世話浄瑠璃及び、上方絵入狂言本の傾向との共通点と相違点が分かり、特に資料、文体による遅速差が見られるという新しい事実も確認できた。