초록 열기/닫기 버튼

 現在の「旅」と「旅行」の意味は非常に類似しているが、語から受けるイメージは、「旅」が《苦しくつらいもの》であるのに対し、「旅行」は《楽しく楽なもの》であると言える。これは語種の違いにもよるが、上代から使われてきた「旅」と、明治以降に広く普及し、日常語化した「旅行」の来歴の違いも大きい。そこで、本稿は「旅」と「旅行」について、「旅行」が広く使われるようになった江戸時代末期から明治時代を中心に語誌的観点から明らかにした。  江戸時代末期から明治時代前半の「旅」は、江戸時代末期以前と変わらず、庶民が愛読した戯作などに登場しており、日常語として広く使われていた。一方、江戸時代末期以前は支配・教養層を中心とした位相語であり、文書語であった「旅行」は、江戸時代末期になると、知識層が読み書きした文献に大量に登場し始める。鉄道や汽船の登場などの近代化との関わりの中で、《新進的なもの》《公的なもの》《男性がするもの》というイメージが付加されるが、依然として知識層が使用する位相語的な性格が強い文書語であったと言える。  明治時代後半になり、楽しみのための〈住む土地を離れて、一時他の土地へ行くこと〉が普及していくのに伴い、「旅行」は文化を表す語として普及し始め、修学旅行が制度として定着すると、《教育的なもの》というイメージも付随することにもなる。そして、明治30年以降には、庶民にまで近代化の恩恵を受けた〈住む土地を離れて、一時他の土地へ行くこと〉が実現されるようになると、《新進的なもの》《公的なもの》《男性がするもの》《教育的なもの》というイメージは次第に希薄になり、「旅行」は《楽しく楽なもの》であるという意識が明確なものになる。それに対比するように、《苦しくつらいもの》が「旅」であるという認識がより強まることとなる。近代文明の恩恵を受けた〈住む土地を離れて、一時他の土地へ行くこと〉は、それまでの《苦しくつらいもの》から、《楽しく楽なもの》になりつつあったため、古くから用いられてきた「旅」ではそれを表現できずに、「旅行」という漢語がそれを担うことになったと考えられる。


.