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本論文は、『扶桑略記』を素材として、平安時代末期の日本仏教伝来に関する認識を仏像という側面から考えようという試みである。日本仏教伝来説については、古代文献において、百済から仏教が渡来したという内容が伝えられていた。これらには年代の問題もあるが、内容上は百済から渡来した仏像焦点があてられていた。『扶桑略記』は一一世紀末頃に比叡山の僧である皇円が編纂したとされる史書である。同書は『日本書紀』や善光寺縁起を利用しつつ仏教伝来に関する歴史を叙述しており、その内容は、やはり仏像を中心とした百済からの仏教伝来説であった。一方、日本には平安時代から三国意識に基づいた仏教史観が広まっていた。これは、仏教がインドから中国を経て日本に伝わってきたとう歴史観を指す。『扶桑略記』と同時代の『今昔物語集』や鎌倉時代の『三国伝燈記』や『三国仏法伝通縁起』、室町時代に編纂された『三国伝記』など、三国史観を前提に日本仏教史を記述した文献が少なくない。ここには百済の欠落という大きな問題が内包されており、古代文献とは大きな差異が見られる。『扶桑略記』はこうした歴史観とは異なる内容を持った書と評価できるだろう。