초록 열기/닫기 버튼

『交隣須知』における日本語の尊敬表現を通時的観点から眺めた場合、苗代川本をはじめ とした古写本類の「さしゃる」、増補本類の「さしゃる」「られる」「(御)~なさ(れ)る」などに よる尊敬表現が初刊本では「られる」に統合され、それがまた校訂本では「御~になる」およ び「御~だ」系を中心とした多様な尊敬表現形式で現れるということを一つの傾向として捉える ことができた。そして、各異本別に当時の言語の変遷相がよく反映されていると言える。まず、 筆写本類は江戸時代の上方語を反映するものとして、苗代川本をはじめとした古寫本類は江戸 前期の上方語、增補本類は江戸後期の上方語を反映する文獻資料として位置付けられよう。 いっぽう、初刊本は明治前期の文献ではあるものの、上方語の影響圈を抜け切っていない言 語現実を反映するものとして、まだ現代日本語の前身である東京語の色彩は薄いと言える。今 後、多様な言語現象から初刊本における江戸語的な要素を究明していく必要があろう。そして 校訂本は明治後期の言語現象を反映するものとして、現代語的な要素が多く現れている。この ような『交隣須知』の通時的な研究を通して、寫本類からの尊敬表現が初刊本と校訂本を経 て現代語的に変化していく過程を効果的に把握することができた。『交隣須知』は日本語史 における上方語と江戸語、そして現代日本語の基盤となる東京語への変化相を反映する資料 と言る。