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この研究は平安文学の代表作である『源氏物語』を理解するキーワードとして「初瀬」を設定し、物語の中で現れる初瀬観音の霊験と人物の関わりを考察したものである。そのために、まず平安時代の他作品の「初瀬」関連用例の分析を通じて共通なパタンを導出し、そのパタンがどのような形で『源氏物語』に反映されているのか、そしてそのパタンから外れた『源氏物語』だけの特性はなんなのかを探ったものである。 初瀬観音の霊験の基本パタンとして別れた人との再会と夢を通じた啓示とが目立つのである。『源氏物語』はこういう基本パタンを借用して玉鬘と浮舟の物語を展開している。即ち玉鬘の場合、初瀬観音の霊験によって右近․光源氏と再会し、華麗な六条院のヒロインとして幸福を手に入れることができたのである。そこで注目すべき点は玉鬘の初瀬観音に対する積極的な祈願と彼女を囲んでいる初瀬(乳母と右近)․清水(光源氏)․石山(鬚黒)の三つの観音の霊験という枠である。それに対して浮舟の場合、決定的に初瀬観音の霊験によって命を救われるのである。浮舟を助かった尼君が夢の啓示によって浮舟を「初瀬の観音が賜へる人」と確信するのである。だが、救命にもかかわらず蘇生した彼女は自分に対する初瀬観音の霊験を否定し、拒否している。以後浮舟は出家をするが、心の闇は消えずさ迷うばかりであった。 このように『源氏物語』に現れた初瀬観音の霊験は単純に霊験によったハッピーエンドで終わらず、その異面に霊験に対する疑懼と否定を配置し、より深く人間の生や心理に入り込んだのに『源氏物語』だけの特徴があると思われる。