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本稿は光源氏の正妻である葵の上という女性の嫉妬の在り方を通して、嫉妬が葵の上自身、そして二人の結婚生活にどのような影響を与え、さらには、物語の展開に如何なる意味を持つかを明らかにしようとするものである。『源氏物語』以前の作品、記紀、『宇津保物語』を通して考察したように、正妻には嫉妬という造型のパターン(相手の女性に対する直接的な行為、又は夫と会おうとしない行為)があり、さらには正妻の嫉妬を夫が歌によって宥め、和解に至るといったパターン化された系譜が窺われた。源氏の正妻葵の上にもこのような嫉妬の造型が窺われたが、源氏には、このような葵の上の嫉妬を受け入れ、和める姿は見られず、自分に対する冷遇として不満に思い、相手を責め、益々二人の溝は深まっていった。そして、正妻としての葵の上の嫉妬は、六条御息所との車争いにより、そのパワーを発揮する。しかし、それは逆に屈辱を受けた相手の女性、六条御息所の、より強力な嫉妬が生み出されるという新たな嫉妬の物語の展開へと結び付く。そして自らもそれによって命を落とすこととなる。こうして最後まで源氏と葵の上の夫婦としての和解は見られないように思われたが、死後、源氏の葵の上に対する反省と彼女を哀悼する多くの歌は、生前、実現できなかった、正妻の嫉妬を夫が歌によって和ませ、和解に至るといった、パターン化された系譜を実現させていると思われる。そして、それが死後、実現したことにより、自らの死をもって、はじめて愛する妻として扱われている葵の上の、一人の女性としての悲劇が、一層強調されているように思われた。このように作者は、既存の物語の系譜を辿りながらも、登場人物たちがお互いに絡み合い、従来の物語とは違った独自の展開へと結び付け、新たなテーマを生み出しているように思われる。