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本稿は、從來薰と大君との固有の距離を照射する鍵語として論じられてきた「隔て」に注目し、「隔て」をめぐる二人の物語を再檢討したものである。特に、ここでは、總角卷の彼岸果ての日に行われた薰と大君との對面に焦点を当てて考察した。 まず、この場面を解讀するため、本文における薰と大君の位置、二人の間に置かれた障子と戶締まり具を檢討した結果、ここは「障子を鎖す」狀態と「袖を取る」という狀態が共存する、物語において稀有な場面であることが確認された。更に『源氏物語』の中で男君が女君の袖、もしくは衣をとる用例を拔粹し檢討した結果、当該場面では「隔て」という境界を越えて袖を取り、女君を掌握するという單純な論理とは異なって、隔ての維持と破壞という相反する狀況が共存する場面であり、薰と大君の關係においても「斷り」と「繫がり」という兩方の意味合いが同時に込められるものであったのである。 このように、薰と大君の相反する狀況を描く当該場面は、隔てを置くことが一定の距離を作るという、從來の認識と異なる樣子が描かれており、隔ての意味を多義的に変奏しながら二人の關係を單に結緣や離別、どちらにも歸屬されない新しい男女の關係として描き出すのに作用していると考えられる。