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『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985)は、村上春樹の小説のなかで比較的に初期小説である。今までの先行研究でこの作品は、村上春樹の他の初期作品とのつながりの中で内閉とか死の物語として扱われてきたようである。同じ時期の彼の作品が一つのシリーズとして見なされているが、この作品は特別な位置にある。この作品の特徴としては、二つのストーリが交差している構造になっている点、そして科学という素材を採用している点があげられる。このうち、科学という素材は、歴史的、或いは社会的状況を考慮して考察する必要があると思われる。 主に扱われている科学の素材は、コンピューターと進化論である。進化論は『種の起源』から始まっていることからして<近代>を示しているし、コンピューターは未来を示していると言えるだろう。科学は<近代>という過去から成立して、未来へ繋がっているといえるだろう。このような科学という素材を通じて、この作品は現代に対しての問題を提起して いる。 この作品で、進化論のような科学知識は完全で完結した知としてすべてを解明してくれるもののように見えるが、実はそうでないことが示している。しかも科学は完全であると信じられて、科学で解明されたことを疑うことはできない。その結果、科学は一部の事実だけを述べ、他の事実を隠蔽することになる。真理ではないことが真理として機能し、比喩を通じてその論理は正当化されていく。その結果、近代の科学は中世の宗教の代わりにドグマの役割をすることになるのである。また、これは個人の無意識にまで影響を及ぼして いる。 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は科学知識の限界を浮き彫りにしている。さらに、この科学知識を生産し、使用する人間がこの限界をどう超えられるのかという問題を提起されている。