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本稿はコスモロジー(異界)の構造と杜子春の人間愛を通した<母の愛>について追究してみた。まとめてみると、以下のようである。一つ目は、そのコスモロジーは仙界と地獄(六道世界)から成ることであった。杜子春の魂は天上に上昇するのではなく地獄に下降し、まず手始めに肉体的な呵責を受ける。そこでの厳しい苦行がいわゆる冥界訪問の話型と結びついて、いつのまにか地獄での苦行へと移行し、そこで畜生道へ堕ちていた父母を幻視するというものであった。二つ目は、杜子春の人間愛を通した<母の愛>についてさぐってみた。その一、母親の杜子春への愛は無償の愛であった。その根底に芥川の母親不在のコンプレックスを想定することができた。その二、非人間化の道を歩もうとしていた杜子春の回心のきっかけを与えたのが<母の愛>だった。その三、仙人の矛盾する言葉からくる杜子春のアポリアは、黙っていなければ仙人の術は得られず、黙っていれば殺されるということになる。そこには看過しえない二つの問題がひそんでいた。その一つは、仙人の矛盾する言葉である。もう一つの問題は心根の優しい母親がどうして地獄の畜生道に堕ちたりしなければならないのかということであった。