초록 열기/닫기 버튼


南北朝․室町期の庶民の女性は少なくとも畿内のような先進地域では、自給経済的色彩の濃厚であった鎌倉期の状況から脱出し、多彩な経済活動に乗り出すようになっているのがわかる。このことはこの時期の女性の生活を活気づけ、また社会的立場を強めるものであったに違いない。しか し、狂言の庶民女性像が経済的な面にも積極的な役割を演じていたとはいえ、社会全体の動向は封建的領主制に基づく領域支配制が次第に強化さ れ、家父長制的な夫上位の夫婦関係が武家のみならず民衆の中にも浸透しつつあったことがわかる。それでも、家父長制による「家」での女性の地位は現実的な庶民の場合、経済発展とともに家父長権から離脱する矛盾も生じたわけである。それは庶民夫婦において夫の家父長権が確立し、妻はその下に完全に従属させられていたとは考え難い、もう一つの経済活動による力をもつようになった女性の姿も無視できないのである。中世の家父長制を論じる場合、このような裏面があることを忘れてはいけない。室町期の女性史はこうした側面もみる必要があると考えられる。これは経済発展に支えられて、庶民女性が自らの存在基盤を広める中で新たに追求してゆく方向であるし、そうした女性の新たな条件を発見してゆくことが日本女性史をより豊かにする方向であると思われる。女性の社会的進出は中世の特色で女は酒を造って酒屋を、夫を助けて茶屋を営むというたくましいものである。狂言には商売をする女性の姿が出ていて、こうした事実は当時の女性の地位を向上せしめたとみえる。社会的な女性の発言も前代に比べて増加したらしく、狂言における女性のたくましさは必ずしも価値転倒による面白さを狙ったものばかりとは言えないようである。女権伸長ぶりにはある程度の真実性も含んでいると言ってよさそうである。すなわち、狂言の女たちが狙った時代性が狂言の中では中世の庶民女性の姿として写し出されていると考えられるからである。活発な女性の経済発展と夫婦中心の家庭内の結束がもたらした庶民女性の地位の向上とともに男の女性差別意識も共に存在し、差別というのがもっと多くなって行く過程にあるのが狂言の世界ではないだろうかと思われる。