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日本の立法過程において、公式の場である国会委員会の審議は形式化され、非公式の場である与党内政策機関が中心になっているのはなぜであろうか。こうした疑問については、これまでおおむね三つの主張がなされてきた。日本固有の文化的要因、日本の議院內閣制の特異性、政党間關係の変化がそれである。しかし、これらの主張はそれぞれその原因の一側面は究明しているものの、各說明にはそれだけでは答えられない部分も少なからずあった。本論文では、その原因を探る手がかりとして、1955年を前後して國會內での議員の行動を規定していた諸ルールに起きた制度的な変化に着目した。1955年には委員會の機能を抑制しようとする目的で、「國會法」と國會運營上の諸慣習に大きな変化が起きた。こうした委員會機能の制度的な制約は、これまで委員會を活動據点にしてきた議員たちの行動を萎縮させた。特に委員會における議員の活動はことごとく政党の統制下に入った。その結果、これまでとは違って、各議員の專門能力向上および利益誘導のための機會は奪われることになった。したがって、議員たちは漸次自由な活動の場を求めて動くことになり、そうした舞台を提供してくれたのが党内の政策機関であった。このように、國會法改正および諸慣行の成立という制度的要因が、委員會における議員の行動を規定し、その結果立法過程における實質審議の舞台の変動を招いた主たる要因であったのである。
